雨宮蒼泉☔️中国語翻訳ブログ

中国語翻訳しつつ、時々語学に関する雑記を書こうかなと思います

宅妖(巻一)--小さな長椅子と棺--(聊斎志異/聊斋志异)作:蒲松齢

长山县李公,是李大司寇的侄子,他家里经常有妖异出观,一次,李公见厅上有条长板凳,呈肉红色,非常细润。他因为以前没有见过这东西,所以走近摸了摸。一摸,板凳随手弯曲起来,和肉一样软。李公吓了一跳,拔腿就走。边走边同头看,那东西四腿动了起来,渐渐地隐入墙壁中去了。又有一次,李公见墙壁上竖着一根白色细长的木杖,非常光滑干净。他走近用手一扶,木杖便软绵绵地倒下,像蛇一样弯曲地钻向墙内,一会儿也看不见了。

 

長山県に李公という者がいた。この人物は李という大司寇(注,刑罰等を司る官職)の甥であった。李公の家では常に妖異が現れていた。李公は部屋に長椅子があるのを見た。それは、桃色で、表面はきめ細かく滑らかだった。

彼は今までにこのような物を見たことがなかったので、近づいて触れてみようとした。触れるとまるで肉のように柔らかく、手に従って曲がった。李公はぎょっとして飛び跳ね、素早くその場を去った。歩きつつ振り返ると長椅子の四つ足は動き出し、次第に壁の中へと入っていった。

さらに、李公は壁に一本の白く細長い木の杖が立てかけてあるのを見た。それはとてもつるつるとして綺麗であった。彼は歩み寄ってその杖に手を添えてみた。すると杖はぐにゃぐにゃとして倒れ、蛇のようにぐねぐねしながら壁の中に入り込み見えなくなった。

 

康熙十七年,有一个书生王俊升在李公家教书。一日黄昏时候,刚点上灯,王先生穿着鞋躺在床上。忽然看见一个小人,长三寸多,从门外进来,稍微打了个转就又出去了。过了一会儿,小人拿了两只小凳来,放在屋正中,像小孩用高梁秸做的玩具小凳一样。又过了一会儿,两个小人抬了一口棺材进来,不过四寸多长,放在两只小凳上。安排还没就绪,又见一女子带领几个丫鬟佣人进来,都像先前小人一样的细小。

康熙十七年、王俊昇という書生が李公の家で教師として働いていた。ある日の夕暮れ時、王は部屋の灯りを点け、靴を履いたままベッドに横たわった。すると突然、身長三寸(約10cm)程の小人が現れ、入り口から中に入ってきた。そして、軽く王を叩くとすぐに出ていった。またしばらくすると、その小人が二つの小さな長椅子を抱えてきて、部屋の真ん中に置いた。それは子供用の高梁(コーリャン)の茎で作られたおもちゃの長椅子のようであった。

次は、二人の小人が棺を運びながら入ってきた。その棺は四寸程もない長さであった。小人はその棺を二つの小さな長椅子の上に置いた。

棺が置かれたものの、まだ何かがあるようであった。すると、一人の少女が、少女の召使いを従えて部屋に入ってきた。その少女はさっきの小人と同じように小さかった。

 

女子身穿孝服,腰扎麻绳,头裹白布,用袖子捂着嘴,细声细气地啼哭,那声音就象大苍蝇叫一般。王先生偷看了很长时间,吓得毛骨悚然,浑身像霜打了一洋凉。他大叫一声,拔腿就跑,可是没能跑掉反而跌倒在床下,浑身颤抖,站不起来。当馆里的人们听到喊叫声急忙跑来看时,屋里的小人和小物全都不见了。

 

少女は喪服を着て、腰には麻縄を巻き、頭部に白い布を巻き、袖で口元を覆い隠し、か細い声で泣いていた。その泣き声はまるで蝿の鳴き声のようであった。

王はしばらくの間その様子を盗み見ていたが、あまりの不気味さにぞっとして驚いた。身体中に霜が降りたようにひやりとした。彼は大きな叫び声をあげ、さっと逃げ出そうとした。しかし、逃げ出すこともできず、つまずきベットの下に倒れ、全身をガタガタと震わせて、立ち上がることもできなかった。

家の人達は王の叫び声を聞き、急いで駆けつけたところ、部屋の中には小人達も長椅子と棺も見当たらなくなっていた。